ワンちゃんに顔を近づけると、「口が臭い」と感じることはありませんか?
大好きな愛犬なのについ顔をそむけたくなるような口臭。
- 酸っぱい臭い
- 生臭いような匂い
- アンモニアのような匂い
- 便のような匂い
なんで臭いんだろう・・・
と、思いながらも何も対策をしていない・・・という状態なら絶対にダメです!
ワンちゃんの口臭には原因があり、ケアをしなければ、ワンちゃんの命にかかわってくることもあります。
ワンちゃんの口臭の原因を知り、対策をすることは大事なことです。
早くケアをしてあげれば、ワンちゃんに痛い思いをさせずに済みます。
今、大事なワンちゃんの口の中で何が起こっているのか説明しますね。

犬の口臭の5つの原因は?
ワンちゃんの口臭の原因は5つあります。
気をつけてあげていれば大丈夫なのもの、緊急を要するもの、気が付いた時には大変な状態になっているものがあります。
原因によって臭いも違っています。

口の中の乾燥が原因の場合
口の中が乾燥すると、生臭いにおいがします。
水を飲む量が少なかったり、口を開けてハアハアと息をすると口の中の水分が減って唾液が濃縮されるため、口臭の原因になります。
夏場は特に暑さのためこのような息をすることが多く、口臭がする場合には、水分が足りているか注意してあげて下さい。
歯石・歯周病が原因の場合
口臭の原因でもっとも多いのは歯周病です。
歯周病は、歯垢中の細菌が原因で歯茎や顎の骨などの歯の周りの組織に炎症が起きる病気です。
厳密にいうと、歯茎の炎症は「歯周炎」、周りの組織まで炎症がおきると「歯周病」と言います。
歯周病はとても怖い病気なのに、重症化するまでほとんど症状が出ません。
歯周病は進行すると、歯を支えている顎の骨が溶けていき、歯が抜けてしまい、ひどくなると下顎が骨折してしまいます。
こんな怖い歯周病に、3歳以上のワンちゃんの約8割が罹っていると言われています。
ワンちゃんの歯垢(口内の細菌の塊)が歯石(歯垢が唾液中のミネラルと結合して硬くなったもの)に変わるのはわずか3~5日で、歯石にまた歯垢がつくという悪循環を繰り返します。
歯石は細菌の塊なので、生臭いにおいがします。
歯周病が怖いと言われる原因は、これだけではありません。
歯周病菌は、血管に入り込み心臓病や腎臓病を引き起こします。

口腔内腫瘍が原因の場合
口の中にできた腫瘍が原因で口臭がすることがあります。
腫瘍は良性と悪性がありますが、口臭は悪性の腫瘍によって起こります。
悪性腫瘍によって、口の中の粘膜や歯肉、骨の組織まで壊されてしまうため、腐ったようなにおいがします。
悪性腫瘍の場合、口臭よりも先に口の痛みのために食欲不振などの症状が現れる場合が多いようです。
内臓疾患が原因の場合
胃腸など消化器系や腎臓病・肝臓機能の低下も口臭の原因になることがあります。
胃炎の場合は、胃酸の分泌が多くなり、胃酸が上がってくるので酸っぱい臭いがします。
腎臓が悪い場合は、アンモニアのにおいがします。
腎臓は、尿の血液をろ過して老廃物等を尿として体外へ排出させますが、腎臓が悪いと体外に出すことがきができず尿毒症になります。
尿毒症によって、老廃物や毒素が体内に溜まるためアンモニアのような匂いがするのです。
腸内環境・腸閉塞が原因の場合
ワンちゃんの腸内環境が悪化している場合、便のようなにおいがします。
動物性脂質やたんぱく質を過剰摂取すると、腸内の悪玉菌が増えます。
これらの悪玉菌が脂質やたんぱく質、アミノ酸を分解すると、アンモニアや硫化水素などの有害物質を生成し、それが血液中に吸収されて便のような匂いがします。
この場合は、腸内環境を整えてあげることで解決しますが、便の臭いがする原因はもう一つあります。
ワンちゃんが腸閉塞を起こしている場合です。
初期症状は、嘔吐や下痢、便秘、食欲の低下などの症状があり、ひどくなると腹痛や呼吸が早くなります。
腸閉塞の原因は、腸にできた腫瘍や多くの場合は、おもちゃやビニール袋等の異物を飲み込んで腸に詰まることでおきます。
様子がおかしい場合は、すぐに病院に連れて行きましょう。

ドッグフードが原因の場合
酸化しやすい動物性油脂を使ったドッグフードは、食べかすが口の中を酸化するため、口臭の原因になります。
また、下痢や嘔吐をする回数が多いワンちゃんは、ドッグフードを消化できていないのかもしれません。
小麦やとうもろこし、大豆など穀物が入ったドッグフードは消化が悪く、胃腸に負担がかかって、口臭の原因になります。
食糞による口臭の場合
食糞、自分のうんちを食べることで、歯にうんちが付いて口臭の原因になります。
食糞の原因は色々言われていますが、子犬の場合は、好奇心から目にするものを食べてしまう自然な行動です。
母犬が子犬のうんちを食べるのも、外敵がうんちの臭いを嗅ぎつけ近寄ってこないようにする為や自分たちの居場所を綺麗にするという自然な行動です。
問題なのは、成犬が自分のうんちを食べることです。
考えられる理由は、
- 食事に飽きる
- ストレス
- うんちをして怒られたことがあり、うんちを隠す
- 食事の量が足りない
- 消化器系の異常や未発達
- 飼い主の気を引くため
等様々です。
口臭で動物病院を受診しなければいけない時は?
口臭以外に、元気がない、下痢や嘔吐がある等ワンちゃんの様子がいつもと違う場合は、動物病院を受診すべきです。
歯周病がひどくない場合は、歯磨きやサプリメントなどご家庭でケアすることで進行を防ぐことができます。
歯の色が茶色や黒っぽくなっていたり、グラグラしているような進行した歯周病は、歯磨きでは治りません。
全身麻酔のリスク、高額の医療費(約2~4万円)を考えると歯石の除去も簡単にできませんが、なるべく早く病院を受診することをお勧めします。
口臭は病気のサインかもしれません。一度、かかりつけの獣医さんに診てもらういましょう。

家でできる愛犬の口臭の治療と対策は?
口臭の原因は食べ物と歯周病です。
歯周病は、進行すると歯をなくしたり、内臓疾患を発症します。
歯周病にならないためには、歯石になる前に歯垢を取り除いてあげることしかありません。
食べ物が原因の場合
ドックフ―ドが原因の口臭の場合は、動物性油脂を使っていないドッグフードに、穀物が入っているフードを食べさせていて、下痢や嘔吐が頻繁にある場合は、穀物が入っていないグレインフリーのドッグフードに変えてみましょう。

歯周病が原因の場合
歯周病にならない為には、毎日歯磨きをしてあげることが一番です。
歯ブラシ
人間の歯磨き粉に含まれるキシリトールは、ワンちゃんにとって命を脅かす成分なので、ワンちゃん専用の歯磨き粉を使って行ないます。
仔犬の頃から歯磨きをする習慣をつけるのが一番良く、成犬になって初めて歯磨きをする時は嫌がってしまうワンちゃんが多くいます。
口を触られることに慣れていなかったり、歯ブラシに慣れていないことが原因です。
なので、最初にする歯磨きが肝心です!
最初から歯磨きをする!という姿勢ではなく、スキンシップをしながら、口を触ったり、少し慣れたら歯を触ったりします。
触らせてくれたら、おやつをご褒美にあげます。
歯を触られたら良いことがあると覚えさせます。
口を触られるのを嫌がらなくなったら、歯ブラシを置いておいて、においを嗅がせたり、ワンちゃんの好きな味の歯磨きを付けておきます。
まずは前歯の外側から磨き、それから徐々に奥歯の方まで磨き、歯の裏側を磨きます。
ワンちゃんの様子を見ながら、最初から全ての歯を磨こうとせずに、嫌がる前にやめます。
上手にできたらお菓子を与えて、歯磨きがいやな行為ではないと認識させます。

歯ブラシシート
歯ブラシがダメなワンちゃんや歯ブラシを使う前におすすめなのが、歯ブラシシートです。
歯ブラシシートは、指にガーゼを巻き付けたものです。
歯ブラシと違って、飼い主さんの手の感触が感じられる歯ブラシシートの方が、ワンちゃんにとっては安心のようです。
指にしっかりとガーゼを巻きつけて、歯ブラシと同じように前歯から奥歯へと磨いていきます。
これもワンちゃんが嫌がらないように、最初は軽く歯に触れるように拭きます。慣れてきたら、徐々にしっかりと磨きます。
ガーゼは丈夫な不織布がおすすめです。
歯磨き効果のあるガム・おもちゃ
歯磨きの効果があるガムやおもちゃも市販されています。
但し、ガムをのどに詰まらせて命を落とすワンちゃんもいますので、ガムやおもちゃを与える時は注意が必要です。
サプリメント
口臭を消すサプリメントの服用も効果的です。
プロバイオティクス(口腔内善玉菌)や腸内環境を整える成分が配合されているサプリメントを、ご飯にかけたり、歯ブラシに付けて歯を磨くことで、歯の隙間や歯ブラシが届きにくい奥歯の歯石も取れるという声が聞かれます。
まとめ
口臭が気になってきたら、ワンちゃんの口の中を必ずチェックしてあげて下さい。
歯が綺麗であれば、動物性油脂を含んでいないドッグフードやグレインフリーのドッグフードへの変更を検討して下さい。
歯が黄色や茶色になっていたら、歯周病が進行していて、歯磨きで歯石を取ることは難しい状態です。
かかりつけ医に歯の状態を診てもらい、歯ブラシやサプリメントで治らないものであれば、病院で歯石の除去をしてもらいましょう。
全身麻酔のリスクもありますが、何もせずに放っておくと確実に歯周病は進行して、取り返しがつかないことにもなりかねません。
大切なワンちゃんの命を守れるのは、飼い主さんだけです。
